最高裁判所第一小法廷 平成1(あ)42 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人綿引光義の上告趣意は、量刑不当の主張であって、適法な上告理由に当た
らない。
また、記録を調査しても、刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない(
本件のうち二件の殺人、死体遺棄は、被告人が身勝手な動機から六日の間に二人の
尊い人命を奪った誠に重大かつ凶悪な犯行である。第一の殺人、死体遺棄は、保護
観察所に出頭しなかったため前刑の執行猶予が取り消され、警察から指名手配され
ていると思い込み、離婚した妻Aに会いたい一念からその所在を探した末、同女の
伯母B方に上がり込み、Aの行方を追及したが、Bはそれに答えず、すきを見て電
話をかけようとしたので、Bの両手両足を緊縛し、さらに、警察に通報されること
を恐れて、全く抵抗するすべのない七三歳のBを浴槽内に沈めて殺害した上、死体
を床下に遺棄したものである。また、第二の殺人、死体遺棄は、Aの帰宅を待ち伏
せし、同女を連れて逃亡生活を続けるうち金に窮し、同女を思慕しているCをホテ
ルに呼び出し、同人にAは人質であると誤信させて金を出させたが、その折、Bを
殺害したことをCに話してしまったことから、口封じのために殺害を決意し、Aの
安全を思い、被告人のなすがままになっていたCの両手両足を緊縛して浴槽内に沈
め、Aと共に押え続けて溺死させ、死体をベッドの下に遺棄したものである。いず
れについても動機に酌量の余地はなく、態様は冷酷かつ残虐であり、被害者らは何
の落度もないのに、生命を奪われたのであって、遺族の被害感情もまた厳しいもの
がある。これら犯行の罪質、動機、態様、殊に殺害の手段方法、結果の重大性、遺
族の被害感情等に照らせば、被告人の恵まれない生い立ちや反省の情などを十分考
慮しても、被告人の罪責は誠に重大であって、原判決が維持した第一審判決の死刑
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の科刑は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。)
よって、同法四一四条、三九六条、一八一条一項ただし書により、裁判官全員一
致の意見で、主文のとおり判決する。
検察官渡邉靖子 公判出席
平成七年六月八日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 高 橋 久 子
裁判官 大 堀 誠 一
裁判官 小 野 幹 雄
裁判官 三 好 達
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